なんだか体が重い、イライラする……梅雨の不調を吹き飛ばす「気の巡り」と、本物の香りが持つ力。

先日の「香りの意識調査ボード」では、たくさんのお客様にご協力いただき、本当にありがとうございました。皆様のリアルな本音を眺めていると、「強い香りは苦手だけれど、ふとした瞬間に優しい香りに癒やされたい」と願う方がとても多いことに気づかされました。
日々、私たちはたくさんのストレスに囲まれています。 特に、このジメジメとした梅雨の時期(7月)は、お天気だけでなく「なんだか体や頭が重だるい」「理由もなくイライラしてしまう」「喉の奥が詰まるような気がする」「胃腸の調子がスッキリしない」といった不調を感じている方が増える季節です。
実は、こうした心と体のサイン、東洋医学(漢方)の視点で見ると、すべて一つの原因に繋がっています。
今回は、この時期を心地よく乗り切るための「気の巡り」のお話をお届けします。
ストレスや湿気でエネルギーが滞る「気滞(きたい)」
東洋医学では、私たちの体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素が滞りなく巡ることで、健康が保たれていると考えます。
このなかでも「気」とは、目に見えない生命エネルギー、元気の源、自己免疫力、そして自律神経の働きのようなものです。
血は血液。栄養や酸素を巡らせます。水は血液以外の体液(汗、尿、唾液、リンパ液など体内の老廃物、害になるものを外に排出する働き)。『病は気から』という言葉も、今は病気は気の持ちようで良くも悪くもなる、という意味合いが強いですが、本来は、気(生命エネルギー)が弱まると、病気になりやすいという意味から生まれた言葉です
現代社会で強いストレスに晒されたり、梅雨の湿気(湿邪)に囲まれたりすると、このエネルギーの流れがスムーズにいかなくなり、体の中で停滞してしまいます。 この状態を、東洋医学では「気滞(きたい)」または「気鬱(きうつ)」と呼びます。
- 気持ちが落ち込む、なんとなく不安になる
- 喉に何かがつまったような違和感がある(梅核気:ばいかくき)
- 胸やお腹が張る、つかえる感じがする
- ストレスが胃腸にきて、便秘や下痢を繰り返す(脳腸相関)
もし今、これらの中に思い当たるものがあるなら、心と体が「エネルギーが渋滞しているよ!」と教えてくれている大切なサインなのです。
植物の香りは、滞った気を動かす「薬」
では、この渋滞してしまった「気」を動かすにはどうしたらいいのでしょうか? そこで大活躍してくれるのが、実は「香り」です。
漢方の生薬(植物を乾燥させたお薬)の中で、滞った気を巡らせる働きを持つものを「理気薬(りきやく)」と呼びます。 例えば、ミカンの皮(陳皮)、シソの葉(蘇葉)、シナモン(桂皮)などが有名ですが、これらには共通して「独特の強い香り」があります。
口から生薬として取り込むか、鼻から精油(アロマ)として取り込むか、というルートの違いはありますが、その正体はどちらも「植物が持つ生命力の結晶」です。
鼻から吸い込んだ本物の香りは、一瞬で脳の自律神経のスイッチを切り替え、滞っていた「気」をビュンと健やかに巡らせて、心身を解放してくれる素晴らしい力を持っています。
【意外と知られていない重要ポイント】人工香料には、中身が「何もない」
ここで、私たちが一番お伝えしたい大切なポイントがあります。
世の中には、柔軟剤や芳香剤など、レモンやローズの「いい香り」がする化学製品がたくさん溢れていますよね。 でも、これら「人工香料」の多くは、化学物質を掛け合わせて「ただ匂いだけを似せた、まやかしの影」にすぎません。
- 本物の精油・生薬: 何百種類もの複雑な天然成分が奇跡のバランスで成り立っており、私たちの心身を巡らせる薬理作用(はたらき)を持っています。
- 人工香料: 物質としての構造が全く異なります。「気を巡らせる力」は、中身に何一つ入っていません。
ニオイ過多、ストレス過多の現代だからこそ、「ただ匂えばいい」という足し算ではなく、中身のある「本物の植物の力」を味方につける。それが、自分を優しく労わること(引き算の暮らし)に繋がります。
今すぐできる「気の巡りケア」
どんよりした空気感に負けず、今日からお家でできる簡単なケアをご紹介します。
💡 柑橘系やハーブなど「本物の香り」を1滴嗅ぐ お部屋にディフューザーがなくても、ティッシュに1滴落として深呼吸するだけで十分です。リトセア、薄荷、レモンなど、スッキリした柑橘系やハーブの香りは、滞った気を一瞬で吹き飛ばしてくれます。もし、お庭でハーブや植物を育てているようでしたら、葉をそっと摘まんだり、こすって香りを感じてみるのもおすすめです。香りは決して強くなくて大丈夫。ふわっと香ってすっと消える、その程度で十分。それが自然です。
💡 温かいハーブティーや生姜湯を飲む 体の中を温め、お腹側から気を巡らせてあげます。ミントティーやカモミールなどもおすすめです。
毎日を一生懸命がんばっているからこそ、気がつかないうちに心も体も「気滞」を起こしてしまいがちです。
「あ、今詰まってるな」と思ったら、まずは深呼吸をして、本物の香りでエネルギーを優しく巡らせてあげてくださいね。サロンでも、皆様の気を心地よく通すお手伝いを心を込めてさせていただきます。
以前、コロナの後遺症で香りが感じにくくなってしまう副作用に悩まされている方が多くいました。そして今もなお、その違和感が残っているというお話を耳にすることがあります。その時に、一つの解決方法としてアロマがありました。香りを感じないのに、意味がないのでは、と思う方もいるかもしれませんが、大切なのは、植物が放っている芳香成分。香りを感じなくても、芳香成分は鼻の奥にある嗅神経を刺激し、「生きた信号」を送り続けています。この成分そのものに、傷ついたりお休みしてしまったりした働きを、正常に戻そうとする素晴らしい薬理作用があるのです。(正確には芳香成分ごとに○○作用という働きがあります。それを書いてしまうと、より長文になってしまうので割愛)実際に、アロマで嗅覚が戻った、という話は多く聞かれました。アロマでなくても、木の幹、葉、香りのある植物が身近にあるなら、それを毎日鼻の近くで香らせてみる。香りは感じなくても、繰り返すことで、少しずつ、眠っていた嗅覚を呼び覚ますリハビリに繋がっていくと私は考えています。たかが香り、ですが、されど香り。これからの時代、こうした「本物の香りの知識」は、私たちセラピストだけでなく、現代を生きるすべての人にとって必要な知恵になっていくのかもしれません。
