神無月
10月のことを【かんなづき】ということは知っていましたが、なぜ‟神”が無い月なのか。
10月は出雲大社に八百万の神が集まり、出雲の国以外の地域は神がいなくなるから、なんだそう。
出雲の国では10月は【神在月】というそうです。
旧暦の10月に行われる特別な期間で、神々は稲佐の浜で迎えられ(神迎祭)、出雲大社の摂社に滞在し、人間の縁結びや来年の収穫などについて話し合う神在祭が執り行われます
日本は八百万の神を信じて、身の回りものすべてに神が宿っているとモノを大切にしてきた国。
今失われようとしている心や文化。
その文化や思いが詰まっているのが、季節の行事だったり、各地に残るお祭り、特に季節の移ろいを漢字で表し、情景の美しさやはかなさを感じる二十四節季、七十二候。
人間が狂わせてしまった気候変動で、日本の四季が感じにくくなってきてしまいましたが、少しでもかつてここにあった情景や思いが、誰かに伝われば、という思いで、今年はカレンダーに二十四節季、七十二候を載せています。詳しい内容を書いてしまうと長くなってしまうので、簡略してますが、字を見ただけでも、その光景が浮かんでくるような表現は短歌や俳句にも様々な季語を使い、決められた語数で表現し、情景の中に感情を重ねることば遊びは、日本人特有の感性がなせる遊びだと思います。
ようやく秋らしい気候になってきました。旧暦の9月9日は重陽の節句。陽数と陽数が重なる日は、陰数となり、縁起が悪いとされ、その季節の旬のものを神にお供えし、食し、邪気を寄せ付けないようにしようとしたのが節句です。特に9は陽数の中でも数が一番大きいので、盛大に行われていたそうです。
そのほか陽数が重なる節句は3月3日(桃の節句)、5月5日(菖蒲の節句)、7月7日(笹の節句)があります。9月9日は菊の節句、栗の節句ともいわれ、栗や菊が旬の食材。栗ご飯や、菊のおひたし、菊酒などをいただいてみてはいかがでしょう。
菊の着せ綿という、前日に菊の花に綿の生地をかけ、翌朝、菊の香り、菊の露を含んだ綿生地で身を清め、長寿を願う、という習慣もあったそう。自然のもので自然に香りを移す、想像しただけで、身が清められそうです。
菊を食べるかたも、今はあまりいらっしゃらないような気がします。私はこどものころ、母の実家、新潟から菊が送られてきていました。母が菊をおひたしにしたり、マヨネーズあえにしてくれたりしてくれましたが、あまり好んで食べてはいなかったような記憶があります…
菊にはビタミンが豊富に含まれているので、今の時期に食べておくと、風邪予防にもなります。好き嫌いはあると思いますが、ぜひ一度試してみてはいかがでしょう?特に季節の食材を調理して、味わうことは五感をすべて使うので、脳にとってもいい刺激になります。
視覚、聴覚だけの偏った刺激で、脳は情報処理が追い付かず、おまけに睡眠不足で、疲弊しているかたが多いので、五感を使うことは脳のリフレッシュにもなります。
私は香りを主にして仕事にしていますが、香りからいろいろな方面のことに興味を持って調べることが多いです。香りから、日本の植物のこと、植物から季節のこと、季節から旬の食材のこと、調べていると、いろんなことが繋がって、また広がって、収拾がつかなくなったりもしますが、日本には誇れる文化や習慣がたくさんありました。今も引き継がれていることはもちろん、一度消えてしまったもの再び復活させられるなら、復活させて、
日本人として、日本の文化や心をもっと誇りを持てるような国にしていく、子どもたちに日本を少しでもいい状態で託していくために、私にできることをこれからもしていきたいです。
