香りで蓋をする前に。「体臭」はカラダからのSOSと、自分を守るやさしいサイン

「なんだか最近、ニオイが気になるかも……」

そう感じたとき、私たちはつい香水や消臭スプレー、強い香りの柔軟剤で隠したくなってしまいますよね。

ですが、ちょっと待ってください。

実は「体臭」は、決して隠すべき悪者ではなく、今のあなたの体調や心の状態を教えてくれる、大切な健康のバロメーターなのです。

1. 体臭は「カラダからのSOS」

東洋医学でも西洋医学でも、体のニオイは「今の体調」をそのまま映し出す鏡と言われています。

例えば、疲れやストレスが溜まりに溜まると、肝臓で分解しきれなかった成分が汗や息から「ツンとしたニオイ(疲労臭)」として出てくることがあります。また、睡眠不足や質の悪い眠りが続いているときも、体のニオイの成分が変化することが分かっています

つまり、「いつもと違うニオイがする」と感じたときは、「今、私疲れてるんだな」「少し休んであげよう」と、自分を労わるチャンスなのです。

自分だけでなく、それは家族や、職場の人にも言える事。いつもと違うニオイは、自分より周りが先に気が付ける事もあります。

2. ニオイは「人と人をつなぐ『目に見えない絆』」

人間も生き物です。実は、自分では感じ取れない微かなニオイ(フェロモンなど)を通して、無意識に大切なコミュニケーションをとっています

  • 親子の絆: 赤ちゃんはお母さんの母乳の匂いを嗅ぎ分けて安心し、お母さんも我が子の匂いをしっかりと記憶しています。
  • 自分にぴったりのパートナー: 女性は無意識のうちに、自分と異なる免疫の型を持つお相手のニオイを「心地よい」と感じる本能を持っています。違う免疫の型との間に生まれる子どもは、より多様な免疫を持つため、生き残る確率が高くなるんだとか。

幼い頃に抱きしめられた時のお母さんの匂いや、お父さんの匂い、おじいちゃん、おばあちゃんの匂い。

体のニオイは、命のつながりや温かい記憶そのものでもあります。

🌿 人だけじゃない。生き物たちが「香り」で会話する理由

実は、「香りやニオイで情報を伝える仕組み」を持っているのは人間だけではありません。 ほかの動物はもちろん、動くことができない植物たちも同じです。

例えば森の木々は、天敵が近づいて傷つくと「香り(揮発性物質)」を放出して周りの木々にSOSを知らせます。その信号を受け取った隣の木は、傷ついても大丈夫なように自ら抗菌作用のある物質を作り出して備えるのです。

農薬を使わずに育てる野菜やハーブも同じ。虫や病気の危険を感じた野菜が発する信号を周りの野菜が察知し、虫除けの香りを放ったり、身を守るための高い栄養を自ら生み出したりします。 過酷な環境で自らの力で生きてきた無農薬のハーブや野菜は、見た目が少し不格好でも、香りが強く栄養価が非常に高いのはそのためです。

自分を守り、仲間と助け合い、生きていくために、もともと備わっている神秘のシステム。

私たち人間も、自然の一部です。 便利さや快適さを追求するあまり、自らに備わったこの大切なシステムや感性を、人工的な香りで消したり隠したりしてしまうのは、なんだかとても勿体ない気がします

💡 香りを足す前に、まずは「正しいケア」できていますか?

年齢を重ねるにつれて、「周りに不快な思いをさせたくない」「いつまでも若々しく魅力的に見られたい」という想いから、香りを纏いたくなるのはごく自然なことです。そのお気持ちもとてもよく分かります。流行に敏感な、今の若い子たちが、自分のにおいにも敏感になるのもわかります。

ですが、強い香りを振りかける前に、一度振り返ってみませんか?

  • 皮脂腺と汗腺が集中する場所、正しく洗えていますか?(脇、耳の裏、胸元、デリケートゾーンなど、ニオイの元になりやすいポイントです)
  • 頭皮ケアとドライヤー、正しくできていますか?頭皮は髪の毛に覆われているため、湿度が高く菌が繁殖しやすい場所。特にミドル世代特有のニオイは頭皮の皮脂とも深く関連しています。シャンプーで丁寧に洗うことはもちろん、「しっかり乾かすこと」ができているでしょうか?
  • 出先での「ひと拭きケア」、していますか?香りを上から重ねるよりも、汗をかいたら濡れタオルやシートで「ひと拭き」して汗と皮脂を物理的にリセットする方が、ずっと清潔で爽やかです。
  • 若い世代は、若い世代にしか出せない香りがあります。強い香りで消してしまうのはもったいない。(γデカラクトン、γウンデカラクトンという金木星や桃のような香り。10代~20代で多く放っているそう。だから、プラスして甘い香りをまとう必要はないんです。ちなみに30代以降急激に減るそうです。)

※ただし、「洗いすぎ」にはご注意を!

気になるからとゴシゴシ洗いすぎると、お肌を守ってくれている「大切な常在菌」や「バリア機能」まで壊してしまい、かえってニオイの原因菌が繁殖しやすくなる悪循環に陥ってしまいます。

🍃 年齢とともに「食べるもの」を引き算してみる

「ミドル臭」や「加齢臭」と呼ばれるニオイ。 これも決して「あなたが悪い」わけではありません。人間だもの、年齢を重ねれば誰にでも起こる自然な変化です。

歳を重ねると、胃腸などの消化能力は少しずつ低下していきます。消化しきれなかった食べ物が体内で停滞すると、それが血液に乗って体臭として外に放たれるのです。

ニオイに「抗って」強い香りを足していくよりも、「今の自分の体に合わせて、食べるものを引き算していく」ほうが、ずっと身体も心も楽になると思いませんか?

  • 脂っこいお肉や揚げ物を少し減らしてみる
  • アルコールや強い刺激物を控えめにする
  • 和食中心の、消化に優しい食事を心がける

「ニオイが出てきたな」と感じたら、それは「もう若かった頃と同じ油っこい食事は卒業して、身体を労わる時期ですよ」という、ご自身の身体からの優しいサイン。

そうやって受け止めて、食事を引き算していくことこそが、一番のインナービューティー(内側からの美しさ)に繋がっていきます。

3. なぜ今、こんなにもニオイが気になるの?

本来、私たち日本人は昔から湯船に浸かる習慣があり、お米や野菜、魚を中心とした食生活を送ってきたため、体臭があまり強くない人種です。

海外で香水などの強い香りを纏う文化が生まれた背景には、肉中心の食生活やお風呂の文化など、それぞれの歴史や生活習慣の違いがありました。そのため、体臭も日本人の体臭とは違います。そのため、強い香りを身に着ける必要がありました。

日本にも香りの文化は古くからあります。それはおしゃれや、香道という身分が高い人の遊びもありますが、、多くは神事、お祓い、身を清めるなど、どちらかというと、強い香りは悪いものを払う、という意味で活用されていました。

今、日本は社会全体が人工的な強い香りに溢れ、自分自身の自然なニオイや、体が発する微かなサインまでも「強い香りでマスキング(隠す)」してしまいがちです。

ニオイを解決しないまま強い香りを重ねると、かえって不快なニオイに変化してしまうこともあります。 そして何より、強い香りを重ね続けることで、本来私たちが持っている繊細な嗅覚や感性が麻痺してしまうのが、私はとても切ないと感じるのです。

スメルハラスメントというハラスメントもありますが、においに敏感な人、嗅覚がまだ未熟な子どもたちにとって、社会全体がスメルハラスメントになってしまっているかもしれません…。

4. 頭の片隅の小さな引き出しに

もちろん、毎日泥だらけになって運動がんばるお子さんの汗のニオイ、毎日家族のために汗を流して働いてくれるお父さん・お母さんの服のお洗濯……現実として「そんな綺麗事ばかり言っていられない!」という大変さも、本当によく分かります。

だから、今すぐすべてを変える必要はありません。

ただ、「ニオイが気になるから香りを足す」という行動の前に、ほんの少しだけ思い出してほしいのです。

  • 食事で脂質や強い刺激物を摂りすぎていないかな?
  • 今日はお肉やお酒を休んで、優しいお湯に浸かって早く寝ようかな?
  • 石鹸で洗いすぎて、必要な皮膚のバリア機能を壊していないかな?

体臭を「くさい嫌なもの」と切り捨てるのではなく、「身体からのメッセージ」として受け止めてみること。

年頃の子たちが、身にまとう香りについて、その香りの意味や必要性を伝えられる大人が少しでも多くいてくれる事。

この知恵を、あなたの頭の片隅の小さな引き出しの奥にそっと閉まっておいてもらえたら嬉しいです。いつか自分や大切なご家族の健康に迷ったとき、きっと役に立つ日ってくるはず。

体からの声に耳を傾けて、足すのではなく「引き算」する優しさを、今日から始めてみませんか?

来るもの拒まず、出るもの追わず。体でも、年齢によって、来るもの、出ていくものがあります。いいことも悪いことも含め。私も、40代を過ぎ、来るもの(うっすら出てきたシミやら、更年期?と思われる不調やら)出ていくもの(若さとか体力とか筋力とか、柔軟性とか)意識すれば、色々あります。来るもの→今の自分に必要なもの、出ていくもの→もう必要ではなくなったもの、と、とらえるようにしています。拒みたくなるものもありますが、抗って、色々抵抗するより、受け入れてしまった方が私は楽な気がします。面倒くさがりなので。体力、筋力は、残りの人生、まだ必要なので、必要最低限の運動はしています(運動と言える運動ではないですが…)。外見はそこそこに、内面を磨いていきたい、今日この頃。