【非思量】今伝えたい禅語
非思量(ひしりょう)。正確には思量に非(あら)ず
この言葉には前置きがあります。
師と弟子の会話の中で、師が最後に言った言葉が【非思量】
もともと漢文で書いてあるので、日本語で
弟子 (師匠)そんな所でどっしりと座って、何をお考えになっているのですか?(兀兀地思量付座)
師 考えない事を考えているのだ(思量箇不思量底)
弟子 考えない事をどのように考えるのですか?(不思量底如何思量)
師 考えない事だ(非思量)
このやり取りで、弟子に師が伝えたい事。
寝ている時の様に、何も考えていないのではなく、今この状況をありのままに感じ、受け流す。それこそ、心を無にする事。
できそうで、なかなかできるものでもありません。人は、常に考えながら行動し、生活しています。場合によっては、同時にいくつもの事考えています。
何も考えていないのは、寝ている時ぐらいです。
でも、師は寝ている時と考えない事とは別の意味だと言って言っているようです。
座っているけど、寝てはいないので。
ひとつ言えるのは、考えてばかりいるのは、いい事ばかりではない、という事。
人は考える葦である、という言葉があります。人間は考えられるからこそ、次に進める。より良い自分になれる。『鬼滅の刃』でも丹次郎が、「考えろ、考えろ!」と自分の持つ力を最大限に出すために、切羽詰まった状態で考えるシーンがあります。
不安な事、イライラする事、落ち込む事など、負の考えは、考えれば、考えるほど、強まっていきます。
誰かに対してイライラしている時って、あの時もそうだった、何でそうなの?!と自分で自分を更にイライラさせていませんか?私も旦那に対して怒っている時は、そうなりがち。イライラが止まらなくなります。不安や心配事も同じ、自分の想像でどんどん不安になります。
そういう時は、非思量。
考えない。
一度、考える事をやめる。
普段から、座禅を組んだり、マインドフルネス、瞑想などしている人は、別として、なかなか考えない、というのは難しいもの。
そんな時に役立つのは、違う事に気持ちを向ける事。
『シンプルに穏やかに生きる』著者:枡野俊明 では、呼吸に意識を向けたり、香りに気持ちを向ける、とありました。一輪、花を飾って、香りを嗅いで「いい匂い」と感じる。そう感じた瞬間気持ちは香りに意識が生き、考えていた頭のスイッチが途切れる。
キューっとなっていた頭皮が緩む感覚がきっとあるはず。
ベランダに出て、外の音、風、外気の香りを感じるのもおすすめ。季節や、天気によって、空気の香りは変わります。
イライラが、収まるわけではないかもしれませんが、考える事を一回リセットするだけでも、負の連鎖から出るきっかけになります。気持ちが、外に向ければ、なんでもいいと思います。
ご飯を食べて「美味しい!」、推しを見て「かっこいい!」、お風呂に入って「温か~い!」
料理が好きな人は、料理もおすすめ。どう切ろう、味付けはどうしよう、何から作れば効率よくできる?工程で考える事が色々あるので、イライラスイッチは一度切れます。推しの動画は、永遠に見てしまいがちなので、あまりおすすめではありません…(私の場合、特に)
自分だけのOFFボタン作ってみてくださいね。